とうとうエンプティに近付いてきた
それなのにまだ奥へと探るから
舌の根は乾かない　唇だけがひび割れていく

粘液にも思えるそのドロリはあぶくだらけ
水搔きのように指を滴って
名残惜しむ価値もないだろうに緩慢な落下

苦い
熱い
寒い

ああ非生産的な
非建設的な、行為
かえるになれれば丸洗いできるのに
なれたら
できたのに
非健全？　否。

遍在している
エンプティはユビキタス

普く
この逆賊はそこに
ある

しかし内容物は残るよ
かたちを変えながら
この なまあたたかい筒を滑ってゆくのだ

雪白の言いそびれたまま凍りたる　バイバイの分　靴が汚れた

寒いと
笑いながら言う姿は
なんとなく　楽しそうだった

寒くて
乾いた頬がピリリとした俺は

なんとなく　面白くなくて

やわらかな手袋
ふわりと白い指をくるんで
絶対の防壁に思えて
ただ　なんとなく　面白くなかった

寒い
それなのに困った顔をしないから
その手袋を引っ張った
いとも簡単に俺の手に収まった
あっけないほど冷たい手だった

寒くないよ
つないだ皮膚を
少し高すぎる俺のコートに突っ込んで

ふたり
寒空にポケッターズ

 

 

針葉に星の降るような
宵闇に穂波の揺れるような
竈に青菜の震えるような

あざやかな　ふわふわり

ね、遠くても　遠くても

信用に意志の溢れるような
良き秘め事に触れるような
彼らがこの名を呼ばうような

ずっと好きでいるよ
 

文字よりも背中に意識を集めつつ　文学少女はサルトルを読む

白菊も隠せぬような霜をみて　蹂躙したいと思う平日

なんでこんなに中毒するかと言えばそれはきっと恋に恋するようなものでもっと突き詰めれば歌うを歌うようなことであって、繋がることに繋がっていたいので ある。ネットワーク。確実な電波、みえないけれどもそれに確かな夢を発見した僕たち、そう君も。ぎゅっと握っても別に接続は早まらないし圏外だってあると いうのにやはり振ったり擦ったりして元気な携帯電話とおしゃべりしたいわけでしょう。鎮痛剤ではなく麻酔でもなく、これは例えるならミラクルフルーツ、気 にならないのではなくって気分がよくなるの、ほらルララ、君が好きな僕が好きな僕がここにいるよ、ねえアクセスして。セルフォンのセルはきっと細胞の Ceｌｌなんだと思う、ミトコンドリアの昔から僕はきっと求めてきたものを君が持っている気がしてならないのだよ、確り掴んでいて、性差が解かる位に強く 強く強く痛いくらいがいいよ、というか痛いくらいにして欲しいってばミラクルフルーツ効果だとさっき話したじゃないか。酸いも甘いも知っているけど苦いの だけはやっぱり苦手だから閻魔大王さま、ああ舌の根っこのところだけ持って行って頂戴な。無理かしらん。それじゃあ丁度良い、君が喰い破ってよ、僕の舌先 を残して全部、美味しいと苦いは同じ所で感じるそうだから他の感覚で他の快楽で僕をうずめてくれ給えよ。もっと深く。あ、あ、地下には潜らないで、電波が届かないんだ、それゆえ駅と駅を繋ぐ鉄の上で震える捨て犬にも似た僕らホモルーデンス。分からない？それなら誰かに聞いてみてごらんよ、海は広いな大きいなだから演技の仕方さえきっと見つかる、アンダーグラウンドなんて大嘘な公然の秘密、ハッキングから今晩のおかずまで、はたまた次元レベルで超人廃人よりどりみどりだ、小瓶に入れるのはリグレットじゃなくたっていいんだぜ。あ、あ、あ。だからやめてったら。切らないで、お願い。あいしてるから。チープだねキッチュだね知ってるよ分かってるよ。あいしてる。死んでも良いだなんて思わないけどね、だってまだ欲しいものがあるから、お金と時間。なぜってそれで君と繋がっていられるでしょう？

顛末を知らないつもりでいたけれど
まるで茶番だ　ペルソナガール
 

＝スクールバッグとタランテラ＝

あぁ　むつかしくて
僕にはついて行くのがやっとだよ
なんて

やがて訪れる相対的な死の
その瞬間に僕は
きっと君といない
いなかった

あぁ　はやくてはやくて
僕にはできないことがいっぱいだよ
なんて

ただ
僕だって君と話したいんだ
並んで帰りたいんだ
なんて、ね
 

つよがったんだ
しっていた
いつか　みたこと　あるよ

いつだって
きみがよかった
いつまでも
きみをまってた

みずいろであめを
ほおにらくがきして
ほんものをしらないって
うたったきみがふりかえらないように
じゃあねって　いえたら
よかったな

ないたんだ　すこし
しんじてた
いつも　みていたんだよ

いつだって
きみをうたった
いつまでも
きみをまってた

つよがったんだ
あきてきた
いっそ　おとぎで　わらえた

ぴえろはこわいと
なみだをえがいて
おどったきみを
おもいだせない

そらいろであめを
らくがきしたかおで

ごまかしたきみだって
はしれるから　はしれるから
じゃあねっていわずに
ここにたってた

まっさらなまま
まっしろなまま
ほんものをさらしてこれっていって
つぶやくきみが　すすめるように
じゃあねっていわずに
てをふるよ

ただぼくのために　てをふるよ