目の前で噛んで見せて
直後に出して
無かったことにはならないのに
汚れた手で反転を願って
嘔吐したいのはぼくの何

例えば
嘘がつけたなら
（もっと上手に）
きみを安心させてあげられた
ずっと馬鹿だから　どうしようか
愛されているのに

意図的に勘違いしている
摂取する器官で
きみが好きと吐く
呼気や小間物にも似ている真摯な虚偽

大丈夫だよ
ごめんなさいは言わないよ　だって反省していないもの
 

そりゃそうだわ、あなたは私を知らないもの。

だから教えたいって思うのに、

頬より近くにくちびるは降りてこないのね。

 

なぁ
そういうこと
構ってほしいから言うの？
邪推は得意だから
嫌ってしまいそうになるよ
そんな
思惑通りに動いてたまるかって思うけど

ねぇ
そういうこと
やめてほしいのに気付いてないの？
邪推は苦手だけど
嫌ってしまいそうになるよ
ほんと
全部計画に従う駒みたいだと思うけど

だったら目の前で死んで見せてよ
逃げんなよ
見下してあげてもいいから
その凡庸な自己嫌悪を

 

運命の　赤いコードを待っている　光回線 顔も知らない

 

 

ゆるやかに　気付かぬうちに　星駆けて
リライトすれば　背は伸びている

あんたのそういうところさぁ
大好きだよ
ヒト臭くて。
人間臭いんじゃないって。
もっと動物じみた、
（いやあんたも私も動物だけれどさ）
馬鹿みたいな
あんたのそういうところがさぁ
大好きなんだよ、
本当に。
それ以外は
大嫌いなくらいに。

帰って来て。
 

根拠のないまま
走ってきた
持っているものは
全部
もしかしなくても
勘違いかもしれないけれど

でも
それでも掴めた気がしたから

走ろう。
 

ごめんね
なんて言わない
だって
謝りたいと思わないから

ありがとう
なんて言わない
なぜって
感謝したいと思わないから


悪いとは思うけれど
悪いとは思うけれど
悪いとは思うけれど

謝りたいと思えないから


嘘はつきたくないから、

ごめんね
なんて言えない
ごめんね
なんて言えない


笑うしかなくて、（ゴメンネ）

 

好きだというあたしは大概変わっているね
｢ボクはエンプティ｣
ああそう　それも好きって言ったら嫌だ？

知っているよ　もう
慰めてほしいからって目の前で泣かないでよ
鬱陶しいから

「ボクなんかきっとエンプティ」

そうね　否定はしない
空虚も悪くないと思うけど　まぁ言わないけど
魂のない薄っぺらなヒットチャート
カラフルな単色Copyで笑ってあげる

同じぐらいにエンプティになれなかったあたしの鎮魂歌
「ボクと違っていいなぁ」
「ええ」




 

「口を開けなさい」

僕の中に死体をギュウと詰めて少女が笑った

口元を押さえて逃げようとしたのに

色を抜いた髪で少女は笑うだけだった

綺麗な長い黒だったのに

もったいない

捨てるしかない死んだ草花と四ツ足だったもの

すり潰して突き刺して

それからまた脈打たせるなんて

僕にはできない

「飲み込みなさいよ」

泣きそうな顔の少女が僕を見る

背伸びをしないと届かないのに

健気にも僕の唇を塞いだ

蠢く舌が蹂躙された半固体を押す

僕の咽喉の奥へと

苦しいほどの慕情が

ドロリと押し込まれる

嚥下してみせて手を振る

口角を下げた少女のピアスが光る

穴がまた増えたね

夢のような肌色を穿つ安全ピンが憎たらしいよ

「それで、いいわ」

眉を剃った少女は表情に乏しく

僕の歌うを善しとしない

どうせ彼女が去れば僕は手の甲に胼胝をつくるのに

それを手伝っているだけなのに



消費されるが
消化されない
昇華し得ない
C_m(H₂O)_n