ひろいうみできみをみつけた
うねうねとゆれるなみ
そのすいめんにりょうのあしでたって
なきそうなほどしっかりしたあしどりで
すべてをれいにもどすようなけついと
からすしかしらないひかりをさがすようなひそうを
ただただそのくろいひとみにたたえて
おそれながらかくしんをもってあいぶするきみをみつけた

にじゅうななじになっても
けのはえていないひふはしずかにならない
くじらでもいるかでもない
みずをえてうてなをのがしたくものあしににていた

きみはわかっているのでしょう

ほりつづけたあなのなかでみつけたあいのかたちはありえない
たとえみずがわきでてどとうのようにせかいをかえたとしても
どうせなのかかんですべてはもとどおりさ

そしてまたまちがえるにちがいない
ひとのうでがにほんだなんて

ええわかっていますよ

うみねこが
いろどりをもった
ひょうめんはぱらぱらとはがれおちて
かたりべもしらないみなぞこへしずむ
からすだけがしろいひかりをみて
うっそりとほほえんだ

このときだ

あゆみをとめないきみが
ずるりとそのひだりあしをつきさした
うねるみなもはへいぜんとつらなり
ははのたいないににたてあしのふじゆうとげんかく
ただはてしないひろさだけがことなるこのうちゅうで
きみというひとつがかいていにおりた
おびえつつもりんとしたそのそんざいを
わたしはたしかにみつけていたのだ
 

＝いき＝

ある日面倒臭くなって息をやめた

我慢がつらくて呼吸した

結局そんなもんさ



生キ遺棄意気逝キ行キ善キ閾

綺麗だと思ったから箱にしまった

ずっと箱と歩いている

拾ったもので楽園を作った

その中で一人　神様


光るそれを手に入れようと

道を睨んで歩いていた

たくさんの好きは自分で見つけた

支配者気取りの箱庭の主が



顔を上げた



目の前に花とビー玉をおろす人影

そいつは箱を覗き込んで言った

「ああ、こう置くのね。キレイ」

ふざけるな！

すべてお前のものだったのか

今までずっと創ってきたのは

自分のものではなかったのか


箱を壊そうとしたができない

だって愛しいそれが詰まっている

今までの時間が詰まっている

だがもう全部ニセモノなんだ

あいつが仕組んだ贋物なんだ



「なんで？　見つけたのは君だ」

「お前が用意したものだろう」

「拾ったのは君だ　君が並べた」

「これは自分のものじゃない」

「君の庭だ」

「違う」

「何故。箱を二人で埋めないのか」

「嫌だ」

「嫌だ」

「嫌だ」

「嫌だ。一緒に」

「嫌だ」

「どうして」

「嫌だ」

「嫌だ」

「嫌だ。･･････お前が嫌だなんて嫌だ」





根負けしたらあいつは笑った

それはとてもきれいだった。


箱には入れなかった


（ はいれなかった？）
（ 　　  　いや、 　 　　）
（　いれなかった。 　）




 

　＝　嘔　＝

言吐き
事破棄
殊は忌

終わる気がするから
言わない

知っている

終わる気がしたから
言えない

言吐き
事破棄

殊は忌

胸のあたりが
さっきから
ぐるぐるするの
すぅっと冷えるような
風が抜けるような
気がするの

耳のあたりで
さっきから
ぐらぐらしてる
片付けのパレットみたいに
下手な迷彩みたいに
響くんだ

嫌だ嫌だ嫌だ

声がね、
ひとつひとつの音がね、
影がね、
ひとりひとりの色がね、

ぐるぐるする

嫌だよ
ねぇ、ねぇ
ね、ね、ね、ね、ね
すごく嫌な感じだ
嫌いなの
とっても


でも
聞いて
一番嫌なのはさ
ずっとずっと
甘えている自分


ずるい自我は
頑張れない


大丈夫なんだけどね
立とうとしているんだけど
全然力がはいらないの
大丈夫だよ
駄目だなぁ、また甘えてる

ぐるぐる回る
逡巡
異物感
回るぐるぐる

ねぇなんで
どうして
そんなに優しくするのですか


泣きそうな手で掴んだまま
「ごめんね、もう放して良いよ」



 

あなたの首筋に顔をうずめて

頬に触れる髪の刺激にわらいます。

ちくちくと、それでもさわさわと。

あなたのにおいと感触、嗚呼

さらりと涼やかしとっているあなた。


あなたの指に自身を絡めて

肌に擦れる骨のかたちにわらいます。

太陽の暖かさと、月の均整と。

あなたのにおいと感触、嗚呼。

しっとりとやわらかく骨の浮くあなた。


暑苦しい。と。
言われたならば離れるけれど。
あなたはけして、
嫌だとは言わない。
だから、
また寄るのです。

ふたりの空気がとける

ふたりがとけるような

暑い日。

 

＝　だ　っ　て　＝

困ったことに君がいない。
困ったことに君がいない。
困ったことに君がいない。

ぼくは別に平気だけど

困ったことにぼくがいない。
君の隣にぼくがいないだなんて。

どうしようか。

 

＝だって＝

だってあなたが好きです

ぼくをとめてくださいと

こんなにおもう

だけどあなたが好きなんです

しねない。
マンガの最新刊は明後日発売。
映画は来月公開。
まだ揃えていないアイテムがある。
誕生日まで生きなきゃプレゼントが渡せない。

しねない。
麻の着物は夏に着るものらしいですよ。
もう26時です。お眠りなさい。
いつか
しなない日が戻るまで、
しねない日を過ごすこと。

メールしませんか？
電話じゃ足りませんか？
会う気はないけど。
だって今は頑張ろう。


28時を回る前に
今日を殺して明日を産まなくてはね。
ああ
産みの苦しみに泣く。
追悼の涙ではない。




 

あなたが　きれいと　うたうもの
ぼくには　みえない　ままだけど

あなたが　きれいと　うたうこと
ぼくには　きれいに　おもえます

あなたが　きれいと　うたうのは
ぼくには　きれいと　おもえない
このせかいの　しんらばんしょう

あなたが　きれいと　いうのですから
ぼくのめ　いかれて　いるのでしょう

あなたが　かなしい　かおをして
そら　うみ　つち　かぜ
きれいだ　でしょう？　と　ぼくにいう


あなたが　きれいと　うたうもの
ぼくには　みえても　しかたない

あなたが　きれいと　うたうこと
ぼくには　それが　せかいです
ぼくの　きれいな　せかいです


ぼくの　きれいな　せかいです