見覚えあるでしょ
そろそろわかってるでしょ
間に合わないビジョンと
五分前行動のヒーロー
大丈夫でしょ

身に覚えあるでしょ
心当たるでしょ
代わりなんていくらだっている
平凡なんて普遍的な虚構
大丈夫でしょ

イイモノばかり食わされて
イイコトばかり聞かされて
イイヒト止まりで捨てられて

覚えてるでしょ
大丈夫だったでしょ
どうせ自分なんか
ちっぽけな芥なんでしょ

吼えてるでしょ
聞こえてるでしょ
ちっぽけなActorだから
舞台を走れるでしょ

見覚えあるでしょ
わかってるでしょ
五分後のヒーローは
ちっぽけなアフターだけど
これからのあんただから


駆ける道見えてるでしょ

大丈夫　見えてるでしょ

結局は
同じことなら
前へと
呟くなら

最後の一回を
最初の一回だと気付けずに
朝から
意識を新たに

姿は
見えないのなら
遠くを
望むのなら

心は
消えないのなら
高くを
臨むのなら

巡り合えなかったわたしの声も
あなたを
苛みますように

強いことばを

弱める羅列にしても

優しく突き立てる

やわらかな厳しさにしても



書きたかったのか

読ませたかったのか



決定的な差分を以て



見上げんとする

靴を履き潰すから
足の裏はやわらかい
已むに已まれず闇に病み
かばんの便利さは大きさに比例しない
きみのくちびるにふれたいよ

歯って本当は白くない
緩く黄色がかったエナメル質
昨日の一秒が耐えられたのに
明日の一秒にはなぜそう怯えるのだろう
きみのへそをなでたいよ

もう一回を何度となく繰り返して
その先のいつかあと一回がくる

モーターが回転する
舌がうごめいてアナログな曲線を描く
望み通りにいかないとき
変えるのは望みかもしれない
きみのふくらはぎをつつきたいよ

生きている間に死ななくちゃあ

真っ白い土踏まずでぼくを蹴ってくれよ

羊を引き裂くように心を
ひとりでかなしむのが恋なら
あたしは多分まちがえているのだ
だってあなたをそうなら
乞おうものを追おうものを
あたしはズレたまんまで
ほんとにほんとに好きだと思っておりました
だけど
けどね
大好きでした
子供じゃないの
子供ではないの
羊にも似て心を両手で
痛烈な想いならば良かった
しくじったあたしは今でも斜めにあなたを
右手に宿すような傲慢すら
額縁に監禁する卑下すら
できずに
かなしまないでいる

コーヒーにはミルクを
霧深い海の向こうにはきっと
祖国が　祖国が
うづくまる薬缶の下には確かに
寒さが　寒さが
出来たり　出来たり
もっと光を。
 

流す
そのままを流す
綺麗な色も分からないけれど
遅れてきた私を　ラインストーンの頓興を
一メートル×一メートルで
それよりも広く
台所にチーズを
マックスコーヒーには冷たい手を
だって
私ではない人が買ったもの
流す
白い息を流す
 

滞る　滞る
論理も倫理も滞る
寒いだなんて言ってみて
暗いだなんて言ってみて
滞る　滞る
負担も加担も滞る
遊びまじりに口笛吹いて
ヤブもつつかず蛇を出す
 

梅花は凄まじく苛む
桜はまだか　桜はまだか
梅花は凄む　桜は

ウグイスと突きしろう
風のためにそう見える

梅花は凄まじく苛む
桜はまだか　桜はまだか
小春を笑う　桜は

繋がれ飢えたる生物よ

血を分けたなら簡単に増殖
で置きしリボ拡散
水分を取ったら呼ばれるまで待機
抜かれた液体を優越感で濁らせることはできない

梅花　梅花

満開の暖かさを呼べ

梅花　梅花

主なくとも叫べ　叫べ

梅花

赤茶けた瘡蓋が



内包する



青く黒くやわらかなあたたかさ

黄色に白んだ紙紐で結わえて



薄緑の木箱へ


入れる



入ることができる



入れる



優しいくらいに窃盗



痛ましくも起動