てのひらから翼がはえた
目からウロコって話には聞いてたけど
てのひらから翼は初耳だ
いや　初手と言った方がいいのかもしれない

てのひらから翼が
てのひらから翼が

ばさりと音をたて
羽ばたいた
三日月を叩いた
ぼきりと音をたてて

困った
最近のタッチパネルは優秀だと聞くから
遅ればせながらガラケーを卒業したというのに
これじゃ　これじゃ
生きることも儘ならない

てのひらから翼が

誰かを泣かせるようになりました
僕は
キライ
なら
違えるほど言い聞かせて言い募る

笑わせられるように変わりました
驚く
クライ
から
多問他答だらけで多分もういいよのあとからもういいかい

イガイ
に思ったのですか？
イミのナイ
音素だけの連続はなめらか
かばん語かばん語
ジャバウォックの詩
ミロはマイロ
あなたもわたしもポッキー
を　過ぎて

ミライ
なんて存在しないでしょう？
ミルことナイ
それでも知覚は続く「ウォータァ！」
あくびを明け方にずらして

それでそれでそれでそれで
ケムにマイて
イザナう想像できなかった
セカイ
もう浮かんだよね
大丈夫なんだ
だって既に
攻撃的な
感覚
が

 

 

ピントをあわせてごらん
まだ時間はあるよ　雪まであと少し
吐いた息の白は水蒸気じゃなくて
もう水になった粒子

見えないんだ
四桁に膨れ上がったこの気体は
あなたにもぼくにも視認できない

あのチョコレートが売られているよ
あのポテトチップスも並んでいる
雪には時間があるけれど　日が暮れるのはとっくに早い

難しいけれど
ピントをあわせてごらん
いつまでふたり　前提のない子供でいられるかな
白い息が距離を埋めてくれるけど
キスしない理由に使わないでくれよ
 

野菜は　赤い
とても　赤い
それだけのことが嬉しかったりして
きみといただきますを唱和して
早食いな僕は先に紙パックを鳴らすんだ
君は嫌な音って眉を寄せる

今日もサンドイッチかい
なんてことないつぶやきだったけど
きみのごちそうさまに唱和させて
ささやかな幸福を噛み締めるために
それをひっそりと維持するために
小さな一言は大事だったりしたんだ

知ってた？

 

おなかがすいたとひとりごと
消えていくものだとずっと
思った私だからだと
驚く理由を推測します

隣にいるだけふたりごと
腹の足しにもならぬこと
無為で無意味な無用の無味も
無益でないと知りました

寂しいなんて言いませんけど
こちらを向いてと言いませんけど
勝手に私も歩きますけど

ね　ね　ね

お菓子がないから買いにいきたい
両手をポケットにだなんて
育ちの悪さに眉根がよります

ね　ね　ね

一緒になんて言いませんけど
あなたとなんては言いませんけど
勝手に進んで構いませんけど

息するだけの容易な仕事
話の種にもならぬこと
あなたはきっと気付かないけど
不易はふたりにないのです

おなかがすいたとひとりごと
消えていくものだともっと
思っていたなら涙など
置いて話せた筈なのです

 

 
わかっていないんだよ　それは
ほんとうはないんだよ
うらぎりもないんだよ
にんげんはりったいてきで
わきばらがあるんだ

できていないんだよ　これは
つくえのうえにはしょるいだよ
ろんにしつりょうはないよ
こきゅうをすると
むねがふくらむよ
はらもふくらむよ

いきするとき
いきるとき
いるとき
いまから
いまわから
いまわかるから

あるくよ

 

 
夕立や　君はノートを下に寝て

ひかげ渡る　くちびるにまるく　ゆすらうめ

ひとりなれば　紫蘇を買わずに　故郷思う

栗の花　指差す横顔見て頷き

 

 

 
日の長さ十九の夏を蹴りかねる

 

愛、愛　愛々傘 
ひとつひとつ音がして
哀、哀　哀々がさ
ふたつふたつ別れてく
Ｉ、Ｉ　Ｉ+Ｉでさ
ひとりがふたりずつ

君の右肩が濡れてもあたしの目は乾いてて
嬉しいことに悲しいことに
君の目は可愛くて
歩くテンポ　話すこと
忘れそうな儚さで
ならばいっそ　刻むほど
大声ならよかったの